センター(城北労働福祉センター)2階の健康相談室では、熱がある労働者が診察を頼んでも全員追い返されてる
●センターの医療
まず、基本的なところなんだけど、山谷の城北労働福祉センターの2階には、「健康相談室」というのがあって、医者がいる。これは昔、山谷のセンターが城北福祉センターと城北労働センターに別れてたとき、福祉センターのほうが、給食宿泊医療、衣服なんかをやってて、労働センターが仕事出し(仕事紹介)をやってて、だから「健康相談室」は城北福祉センターの系列になるんだが、いまは2つが合わさって城北労働福祉センターになっている。
仕事出しももちろんだが、医療も宿泊も、センターの事業は山谷対策としてやっている。これは、寄せ場である山谷の日雇いの仲間は健康保険がない人が多いし(日雇健康保険というのがあるが、かなり使いにくい制度です)、日雇い労働だと収入も安定しないので、病気や怪我をしても、普通の病院に行くことが難しい。そういう人たちが多く暮らす地域の特有の事情と必要性に合わせるために、作られたのが山谷のセンターで、地域で暮らす日雇い労働者が無料で受けられる医療体制が必要だ、ということで健康相談室もそこにある。
バブルの崩壊以降、日雇いの仲間の多くが路上に叩き出され、山谷のセンターを使う人の内訳も、野宿しながら日雇い労働につく人が増えた。だから、野宿の仲間、日雇いの仲間の生活を援護する施設として、長年機能してきたのが山谷のセンターだったのだが、そのセンターがいま、野宿者を堂々と?排除しているという問題がある。Iという職員は、「野宿者はセンターの施策の対象ではありません」と言い放って威張っている。だが、いまセンターの利用者カードを持っている人の約半分が野宿だというのが現実だ。これを知っていながらウソを平気で言うのがわからない。
●健康相談室は結核研究所が委託を受けてやっているのは、山谷特有の事情に合わせてのこと
健康相談室は、結核研究所というところが委託を受けてやっている。なんで結核かというと、日本ではかつてに比べると結核の患者はすごく減っているんだが、寄せ場といわれる地域では、一般?の地域に比べると結核になる人の割合が100倍とかの多さで、これはまさに地域的な事情を反映している。寄せ場という地域の特性(ともちろんそこで暮らす人たち)の必要性にあわせて、結核研究所が委託を受けているということだ。そしてもちろん、感染症としての結核の特性ということもある。結核は、感染した人をほっておけば多くの人にうつり感染が広がる。これを防ぐためにも、感染症対策という面での医療が非常に重要だということだ。
ちなみに、日本のコロナ対策のトップのオミという人は、この結核予防会の人であり、同じ感染症つながりということなんだろう。
●コロナになって、熱がある人は山谷のセンターで医者に見てもらうことができなくなっている
やっと話がコロナになったんだが、コロナが社会に広がって以来、センターの健康相談室はこれまで以上に労働者に門戸を閉ざすことになってしまっている。なぜかというと、センターは健康相談室に「発熱外来」をやらせない、と言っているからで、健康相談室に行った労働者が熱が37.5度以上あると、「うちではみれません」と追い返すようになっている。
普通であれば「発熱外来がある病院に行けばいい」となるんだろうし、職員のIも「センターじゃなくても発熱外来がある他の病院に行けばいいじゃないですか」と言っている。だが、上にも書いたように、「他の病院に行くのが難しい人が多い」という地域的な特性があるからこそ、センター2Fで健康相談室をやっているんであって、そこを全くわかっていない。今のままでは、「(発熱外来をやっている)他の病院に行けない」という仲間は、診察を受けられないまま、ドヤや野宿の場所に帰される。危険すぎる。なので、発熱した仲間が診察を受けられるようにする必要がどうしてもある。
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