12月11日の野宿者襲撃事件を受け、公開質問状を江東区役所の各部署に出しました
2011/12/15
江東区役所区長 山﨑孝明 殿
江東区役所 水辺と緑の課 殿
江東区役所 教育委員会 殿
江東区役所 人権推進課 殿
山谷労働者福祉会館活動委員会
山谷争議団・反失実
竪川河川敷公園野宿者有志
支援者有志
連絡先:山谷労働者福祉会館
東京都台東区日本堤1-25-11
電話/FAX 03-3876-7073
公開質問状
12月11日午前2時20分ころ、江東区大島の都立大島小松川公園で、野宿する男性が少年らによる襲撃を受け、肋骨を折る重傷を負う事件が起きました。この事件について、山谷労働者福祉会館活動委、山谷争議団・反失実、竪川河川敷公園で暮らす野宿者有志、の連名で以下のとおり公開質問状を提出します。ご回答ください。
山谷労働者福祉会館活動委と、山谷争議団・反失実は、東京都台東区、墨田区、荒川区、江東区などを中心に、野宿する人々・日雇い労働者の暮らしと仕事を守る取り組みを続けてきた団体です。江東区では、竪川河川敷公園の改修工事に伴う野宿者追い出しが起こっており、現地で暮らす野宿の人々と、 山谷労働者福祉会館活動委、山谷争議団・反失実および支援者有志は、合同でこの追い出し問題に取り組んできました。今回の襲撃事件が起こった大島小松川公園と竪川河川敷公園は500m程度の距離です。私たちは、今回の襲撃事件に対し、体が震えるような怒りを感じています。襲撃により重傷を負った仲間の事が気がかりでなりませんし、野宿する私たちの仲間に対し向けられた卑劣な暴力を決して許すことはできません。
しかも、今回の襲撃は前触れなく起こったのではありません。この事件が起こる前から、江東区では野宿する人々に対する少年らによる襲撃が続いてきました。 私たちが直接知っているだけでも、この一年間に、暴行を受けケガを負った仲間がおり、また、小屋への放火という、命に関わる事件も起こっています。私たちは、被害を受けた仲間たちと共に何度も江東区役所へ出向き、地域社会や学校などへの対応を求めてきました。しかしこれまで、具体的な対応がとられた形跡はありません。それどころか、江東区水辺と緑の課は、竪川河川敷公園での追い出しやガードマンによる野宿者排除など、襲撃を煽るような行為を続けています。
このような中で、今回の襲撃事件は起こりました。江東区役所は、この事件に対し重大な責任を負っていると私たちは考えます。これから、このような襲撃を繰り返させないために必要な対応が、なるべく早くなされなくてはなりません。襲撃のベースにあるのは、野宿する人々に対する無知と偏見、差別意識です。江東区では、2003年に16歳の二人の少年が野宿者を殺害する事件が起こっています。また、墨田区でも2005年に野宿者殺害事件があり、加害者の高校生が 「ホームレスなら殺してもいいと思った」と供述しています。
今回の事件の後も、少なくとも2件の襲撃が近傍地域で起こっています。●12月12日、五の橋たもとにて、スーツケース(廃棄物と思われる)が小屋めがけて投げ落とされる ●12月13日、竪川河川敷公園C工区において、カラーコーンが小屋に投げつけられる。
これ以上の襲撃を止めるため、私たちは、野宿する人々と野宿の背景にある社会問題について、正確な知識を子供たちーそして地域社会ーに伝えるプログラムを直ちに実施するよう、改めて強く求めます。また、役所による野宿者排除が、子供たちに影響しないわけがありません。野宿する仲間の暮らしを破壊するだけでなく、少年らの襲撃を煽るような追い出しを直ちにやめるよう求めます。
以下、質問です。
1. これまでに、江東区は野宿者襲撃に対し、どのような対策、対応を行って来たのか。また、私たちがこの一年間かけて行ってきた襲撃事実の提示と問題提起が、どのように検討されたのか、それが江東区の対応・対策にどのように反映されたのか示されたい。それぞれの部署については、以下の事柄についてお答えいただきたい。
●水辺と緑の課については、①地域住民からの野宿者に対する問い合わせにどのように答えてきたのか、②区内で生活している野宿者への対応を行う際、人権問題としての野宿者問題をどのように考え、反映させてきたのか。
●教育委員会については、2011年11月16日に、私たちと一連の襲撃事件を受けての話合いを行っているが、それを受けての対応がどのように検討されたのか、具体化に向けて動きが進められたのか。
●人権推進課については、昨年度にこちらからお伝えした、野宿者に対する襲撃の事例は引き継がれたのか。それに対する対応はどのように協議されたのか。
2. . 今回の襲撃は、12月4日~10日までの人権週間の直後の12月11日に起こっている。人権週間において、野宿する人々の人権に関する取り組みが行われたのかどうか、示されたい。
3. . 今回の襲撃事件を受けて、江東区としてどのような対応を考えておられるのか、示されたい。それぞれの部署については、以下の事柄についてお答えいただきたい。
●水辺と緑の課については、①ガードマンを巡回させ、ベンチで寝ている小屋のない野宿者に対し、「ここは寝る場所ではない、出て行け」というような声かけを行わせているが、これからもこのような対応を続けさせるのか。②竪川河川敷公園のA工区にある小屋に対し、約2週間に一度の頻度で「指示書」なる追い出し文書を貼付しているが、これからもこのような貼付を続けるのか。
●教育委員会については、今回の襲撃事件に即す形での、野宿者問題についての教育を各学校において行う予定はあるのか。あるとしたらその内容はどのようなものになるのか。
●人権推進課については、今回の襲撃事件に即す形での、野宿者問題についての啓蒙活動を行う予定はあるのか。あるとしたらその内容はどのようなものになるのか。
12月21日(水曜日)に、回答をいただきたい。21日の午後、私たちは江東区役所に出向く予定です。午後1時から、この件について話をするための会議室を準備していただくことはできませんか。質問状の宛先となっている3つの部署(水辺と緑の課、教育委員会、人権推進課)からは担当者に出席していただき、上記の各項目についての回答をいただきたいと考えています。
***以下、これまでの襲撃の事例と、私たちと江東区役所との交渉の記録です。***
●少年らによる野宿者襲撃の事例(竪川河川敷公園だけでも以下のような事件が起こっています)
2011年1月 公園内に設置された、追い出しをやめるよう訴える横断幕が、放火され焼け落ちる。
2011年3月5日 テントへの襲撃。コンクリートブロックを投げ落とすなど。
2011年7月6日 少年が野宿者に自転車で故意に衝突する。被害者は足に怪我を負い、以後しばらく通院。
2011年7月28日 野球のアンダーシャツを着た少年らにより、花火がテント小屋に撃ち込まれる。
2011年10月10日 少年らにより生卵を投げつけられる事件発生。
2011年11月2日 少年らにより発火物がテントに投げ落とされ、野宿の仲間のテントが全焼。
2011年12月11日 大島の都立大島小松川公園で、野宿する男性が少年らによる襲撃を受け、肋骨を折る重傷を負う。
2011年12月12日 竪川河川敷公園五の橋たもとにて、スーツケース(廃棄物と思われる)が小屋めがけて投げ落とされる。
2011年12月13日 竪川河川敷公園C工区において、カラーコーンが小屋に投げつけられる。
●江東区役所各部署との、襲撃事件についての交渉記録
■人権推進課
昨年度:襲撃の事例を共有するための話合いを持つ。対応を求めるが、人権推進課によるなんらかの動きには至らず。
今年度:襲撃事例の共有のための話合いを求めるも、当事者全体を含む話合いを人権推進課側が拒否。
■教育委員会
2011年11月16日 一連の襲撃事件を受けての話合い。被害当事者がその場に来て、襲撃について報告しているにもかかわらず、教育委員会は、「襲撃 があったという事実を認めることはできない」と言明。警察からの報告(もしくは襲撃を行った生徒や保護者からの報告)がない限り、事実として認めないとの こと。結果として、「江東区で現在起こっている野宿者襲撃」という具体的な事例に即した指導・教育はできないとのこと。
■水辺と緑の課
2011年1月の、横断幕放火事件の際、現場に来た職員が「このような横断幕は燃やされて当然だ」と発言。(後日、話合いの席で、布の素材についての発言だったと釈明)
7月から、緊急雇用創出事業により、ガードマンを雇い公園を巡回させている。ガードマンは、ベンチで寝ている人を起こして追い出すなどの行為を日常的に行っている。これについて抗議するも、是正なし。今も追い出しが続いている。
江東区役所区長 山﨑孝明 殿
江東区役所 水辺と緑の課 殿
江東区役所 教育委員会 殿
江東区役所 人権推進課 殿
山谷労働者福祉会館活動委員会
山谷争議団・反失実
竪川河川敷公園野宿者有志
支援者有志
連絡先:山谷労働者福祉会館
東京都台東区日本堤1-25-11
電話/FAX 03-3876-7073
12月11日午前2時20分ころ、江東区大島の都立大島小松川公園で、野宿する男性が少年らによる襲撃を受け、肋骨を折る重傷を負う事件が起きました。この事件について、山谷労働者福祉会館活動委、山谷争議団・反失実、竪川河川敷公園で暮らす野宿者有志、の連名で以下のとおり公開質問状を提出します。ご回答ください。
山谷労働者福祉会館活動委と、山谷争議団・反失実は、東京都台東区、墨田区、荒川区、江東区などを中心に、野宿する人々・日雇い労働者の暮らしと仕事を守る取り組みを続けてきた団体です。江東区では、竪川河川敷公園の改修工事に伴う野宿者追い出しが起こっており、現地で暮らす野宿の人々と、 山谷労働者福祉会館活動委、山谷争議団・反失実および支援者有志は、合同でこの追い出し問題に取り組んできました。今回の襲撃事件が起こった大島小松川公園と竪川河川敷公園は500m程度の距離です。私たちは、今回の襲撃事件に対し、体が震えるような怒りを感じています。襲撃により重傷を負った仲間の事が気がかりでなりませんし、野宿する私たちの仲間に対し向けられた卑劣な暴力を決して許すことはできません。
しかも、今回の襲撃は前触れなく起こったのではありません。この事件が起こる前から、江東区では野宿する人々に対する少年らによる襲撃が続いてきました。 私たちが直接知っているだけでも、この一年間に、暴行を受けケガを負った仲間がおり、また、小屋への放火という、命に関わる事件も起こっています。私たちは、被害を受けた仲間たちと共に何度も江東区役所へ出向き、地域社会や学校などへの対応を求めてきました。しかしこれまで、具体的な対応がとられた形跡はありません。それどころか、江東区水辺と緑の課は、竪川河川敷公園での追い出しやガードマンによる野宿者排除など、襲撃を煽るような行為を続けています。
このような中で、今回の襲撃事件は起こりました。江東区役所は、この事件に対し重大な責任を負っていると私たちは考えます。これから、このような襲撃を繰り返させないために必要な対応が、なるべく早くなされなくてはなりません。襲撃のベースにあるのは、野宿する人々に対する無知と偏見、差別意識です。江東区では、2003年に16歳の二人の少年が野宿者を殺害する事件が起こっています。また、墨田区でも2005年に野宿者殺害事件があり、加害者の高校生が 「ホームレスなら殺してもいいと思った」と供述しています。
今回の事件の後も、少なくとも2件の襲撃が近傍地域で起こっています。●12月12日、五の橋たもとにて、スーツケース(廃棄物と思われる)が小屋めがけて投げ落とされる ●12月13日、竪川河川敷公園C工区において、カラーコーンが小屋に投げつけられる。
これ以上の襲撃を止めるため、私たちは、野宿する人々と野宿の背景にある社会問題について、正確な知識を子供たちーそして地域社会ーに伝えるプログラムを直ちに実施するよう、改めて強く求めます。また、役所による野宿者排除が、子供たちに影響しないわけがありません。野宿する仲間の暮らしを破壊するだけでなく、少年らの襲撃を煽るような追い出しを直ちにやめるよう求めます。
1. これまでに、江東区は野宿者襲撃に対し、どのような対策、対応を行って来たのか。また、私たちがこの一年間かけて行ってきた襲撃事実の提示と問題提起が、どのように検討されたのか、それが江東区の対応・対策にどのように反映されたのか示されたい。それぞれの部署については、以下の事柄についてお答えいただきたい。
●水辺と緑の課については、①地域住民からの野宿者に対する問い合わせにどのように答えてきたのか、②区内で生活している野宿者への対応を行う際、人権問題としての野宿者問題をどのように考え、反映させてきたのか。
●教育委員会については、2011年11月16日に、私たちと一連の襲撃事件を受けての話合いを行っているが、それを受けての対応がどのように検討されたのか、具体化に向けて動きが進められたのか。
●人権推進課については、昨年度にこちらからお伝えした、野宿者に対する襲撃の事例は引き継がれたのか。それに対する対応はどのように協議されたのか。
2. . 今回の襲撃は、12月4日~10日までの人権週間の直後の12月11日に起こっている。人権週間において、野宿する人々の人権に関する取り組みが行われたのかどうか、示されたい。
3. . 今回の襲撃事件を受けて、江東区としてどのような対応を考えておられるのか、示されたい。それぞれの部署については、以下の事柄についてお答えいただきたい。
●水辺と緑の課については、①ガードマンを巡回させ、ベンチで寝ている小屋のない野宿者に対し、「ここは寝る場所ではない、出て行け」というような声かけを行わせているが、これからもこのような対応を続けさせるのか。②竪川河川敷公園のA工区にある小屋に対し、約2週間に一度の頻度で「指示書」なる追い出し文書を貼付しているが、これからもこのような貼付を続けるのか。
●教育委員会については、今回の襲撃事件に即す形での、野宿者問題についての教育を各学校において行う予定はあるのか。あるとしたらその内容はどのようなものになるのか。
●人権推進課については、今回の襲撃事件に即す形での、野宿者問題についての啓蒙活動を行う予定はあるのか。あるとしたらその内容はどのようなものになるのか。
12月21日(水曜日)に、回答をいただきたい。21日の午後、私たちは江東区役所に出向く予定です。午後1時から、この件について話をするための会議室を準備していただくことはできませんか。質問状の宛先となっている3つの部署(水辺と緑の課、教育委員会、人権推進課)からは担当者に出席していただき、上記の各項目についての回答をいただきたいと考えています。
***以下、これまでの襲撃の事例と、私たちと江東区役所との交渉の記録です。***
●少年らによる野宿者襲撃の事例(竪川河川敷公園だけでも以下のような事件が起こっています)
2011年1月 公園内に設置された、追い出しをやめるよう訴える横断幕が、放火され焼け落ちる。
2011年3月5日 テントへの襲撃。コンクリートブロックを投げ落とすなど。
2011年7月6日 少年が野宿者に自転車で故意に衝突する。被害者は足に怪我を負い、以後しばらく通院。
2011年7月28日 野球のアンダーシャツを着た少年らにより、花火がテント小屋に撃ち込まれる。
2011年10月10日 少年らにより生卵を投げつけられる事件発生。
2011年11月2日 少年らにより発火物がテントに投げ落とされ、野宿の仲間のテントが全焼。
2011年12月11日 大島の都立大島小松川公園で、野宿する男性が少年らによる襲撃を受け、肋骨を折る重傷を負う。
2011年12月12日 竪川河川敷公園五の橋たもとにて、スーツケース(廃棄物と思われる)が小屋めがけて投げ落とされる。
2011年12月13日 竪川河川敷公園C工区において、カラーコーンが小屋に投げつけられる。
●江東区役所各部署との、襲撃事件についての交渉記録
■人権推進課
昨年度:襲撃の事例を共有するための話合いを持つ。対応を求めるが、人権推進課によるなんらかの動きには至らず。
今年度:襲撃事例の共有のための話合いを求めるも、当事者全体を含む話合いを人権推進課側が拒否。
■教育委員会
2011年11月16日 一連の襲撃事件を受けての話合い。被害当事者がその場に来て、襲撃について報告しているにもかかわらず、教育委員会は、「襲撃 があったという事実を認めることはできない」と言明。警察からの報告(もしくは襲撃を行った生徒や保護者からの報告)がない限り、事実として認めないとの こと。結果として、「江東区で現在起こっている野宿者襲撃」という具体的な事例に即した指導・教育はできないとのこと。
■水辺と緑の課
2011年1月の、横断幕放火事件の際、現場に来た職員が「このような横断幕は燃やされて当然だ」と発言。(後日、話合いの席で、布の素材についての発言だったと釈明)
7月から、緊急雇用創出事業により、ガードマンを雇い公園を巡回させている。ガードマンは、ベンチで寝ている人を起こして追い出すなどの行為を日常的に行っている。これについて抗議するも、是正なし。今も追い出しが続いている。